三会統一基準
三会統一基準の意義
三会統一基準の内容
三会統一基準の適用
三会統一基準の改訂
違法高利業者対応の三会統一基準
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三会統一基準の意義
(1)「クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準」は、東京三会がクレジット・サラ金法律相談において統一して採用している任意整理事件の処理基準です。従って、法形式的には他の弁護士会のクレサラ法律相談に適用されるものではありませんし、三会所属の弁護士が、法律相談センター以外で個人的に受任した事件の処理はこの基準に拘束されないのが一応の建前です。
(2) しかし、この基準は、任意整理によって、多重債務者の経済的更生を図るために必要最低限どの内容を盛り込んだもので、相当の合理性をもち、歴史的にも、東京弁護士会・財団法人クレジットカウンセリング協会のクレサラ法律相談では昭和50年代からこれに沿った事件処理が指導され、比較的健全な貸金業者にも尊重されている実情があります。また、最近では、東京以外の弁護士会でも、同様の基準を法律相談センターの基準として設ける傾向にあります。(現在、この基準を全国の法律相談センターでも採用することを日弁連で検討中とのことです)。以上から、今日では、三会統一基準が多重債務者の経済的更生のために弁護士の依るべき基準として、一定の法規範性(クレサラ担当弁護士と貸し金業者間の「公序」性)を獲得していると言っても過言ではありません。(東京高判平9・6・10判時1636-52判例10-37参照)
(3) なお、任意整理を受任した弁護士が統一基準とかけ離れた事件処理をする場合、特に、制限利率に沿った引き直し計算を全く行わない任意整理は、弁護士の高度な注意義務に違反した事件処理として、依頼者に対する関係で正当性が認められない可能性があります。(東京地決平11・3・10未登載判例12-2・東京高決平12・3・2未登載判例12-5=野口事件抗告審決定)。
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三会統一基準の内容
(1) 取引経過の開示
三会統一基準の1が「当初の取引よりすべての取引経過の開示を求めること」です。制限利率での引き直し計算と、これによる債務の圧縮は、任意整理を進める弁護士の最大の武器であり、この引き直し計算のためには、貸金業者から取引経過の開示を受ける必要があります。徹底した取引経過の開示請求のためには、行政指導申告・証拠保全等の手段もありますが、取り敢えずは、再三、開示請求を繰り返し、これに協力しない業者には和解案を提示しないことで対抗します。
(2) 残元本の確定
三会統一基準の2が「利息制限法の利率によって元本充当計算を行い債権額を確定すること。書く定時は債務者の最終取引日を基準にします」です。前段は、徹底した開示請求の目的が引き直し計算にあることを確認し、担当弁護士に利息制限法の引き直し計算の徹底を推奨したものです。また、後段は、最終取引日(借入・返済の何れか遅いほう)を基準に各債権者の債権額を確定することを求めたものです。厳密には、依頼者の利息・損害金債務は日々増額になりますが、どこかの時点で債務を確定しなければ、合理的・公平な和解案の提示はできません。この基準では、最終取引日時点で債務を固定化し、その時点の債務を基準に任意整理を進めることを定めたものです。
(3) 弁済案の提示
三会統一基準の3が「和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと」です。その直後に注記されているように「債務者は、すでに今までの支払が不可能となり、弁護士に任意整理を依頼してきたものであり、担当弁護士としては、債務者の生活を点検し、無駄な出費を切り詰めさせて原資を確保し、弁済案を提案するものであり、この和解金に、従来・将来の利息・損害金を加算することは弁済計画その者を困難にさせます。」ということにしました。
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三会統一基準の適用
弁護士は、最終取引日までの引き直し計算を行った後、残元本だけの分割返済案を債権者に送付します(統一基準を知らない恐れのある業者には基準のコピーを同封します。(但し、従来はしばしばコピー同封は必要でしたが、最近では、首都圏以外の余程小さな業者でない限りその必要はなくなり、この基準は貸金照会に知れ渡っているものと思われます)。三会統一基準は、貸金業者が抵抗を示す事項を整理したものであり、かつては、各条項について、交渉段階で相当な抵抗が示されました。しかし、前述した統一基準の実質的な規範性や、債務者本人の問題として、経過金利・将来利息をカットしなければ返済計画が立てられないこと、或いは、(この点、最も説得力があるかも知れませんが)弁護士がこの基準に拘束されており、統一基準に違反した和解が許されていないことを説明して債権者の協力を要望し続けた結果、現在では、貸金業者全般からこの基準が一定の評価を受けるようになっています。
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三会統一基準の改訂
平成12年4月、東京三会によって統一基準が改訂され、従来の条項が若干手直しされた他、以下の3点が追加されました。
(1) クレジット会社の立替代金債権額の確定に当たっては、手数料を差し引いた商品代金額を元本として貸金債務と同様の引き直し計算を行った場合の残元本を上限とすること。この立替代金債権については、利息制限法の適用を否定する裁判例があることから、その取扱について実務上考えが分かれていました。しかし、名古屋地判昭60・2・8(判雄554-281判例1-4)は、利息制限法の適用は否定しながらも、手数料の中には未経過利息に相当する部分もあるとして、その控除を認めています。また、多重債務者の経済的更生という観点からは、クレジット代金債権についても貸金債権と同様に扱う必要性があります。このため、三会統一基準に以上を明記して統一的な取扱をすることとしました。
(2) 同一系列の保証会社の求償債権は、本来の貸金債権まで減額すること。一部商工ローン業者が、名目的に設立した保証会社に代位弁済させたことによって求償債権として請求額を膨らませることが認められないことは当然ですが、その他、銀行借入金について、同系列の保証会社からの求償について適用される条項です(東京高判平12・3・29未登載判例11-23は、商工ローン業者についての裁判例ですが、一般の貸金業者・銀行と系列の保証会社にも適用範囲が及ぶことを、判決自体が傍論しています)。
(3) 非弁提携弁護士による和解について利息制限法違反をチェックすること。利息制限法は強制法規であり、これに抵触する和解が成立しても(且つ、その和解が形の上で弁護士によって締結されていても)、同法に違反する限度で効力をもちません。そこで非弁提携弁護士の案件について任意整理を行う場合、従前の和解内容が利息制限法に照らして有効か無効かを改めて厳しくチェックする必要があることになります。これは当たり前のことなのですが、和解の見直しに対して抵抗する業者が多いため、敢えて三会統一基準の中に明記することにしたものです。
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違法高利業者対応の三会統一基準
違法高利業者に関する共同声明
長引く不況の影響下、近時、10日で2割、3割などという高利を要求する貸金業者が急増し、これら業者による過酷な取立ての被害事例が首都圏を中心として全国的に続発している。
出資法は貸金業者の上限金利を年29.2%と定め、これを超える高金利に対しては、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という罰則を科して禁止している。したがって、上記のごとき年百%もの高利貸付はそれ自体違法であり、貸金改修に名を借りた取立行為は許すべからざる犯罪行為である。
しかるに、これらの違法高利業者は、貸し金の回収という名目で、手段を選ばず弱者から金を取り上げることに狂奔しており、困窮した借主の自宅・勤務先や学校にさえ押しかけて恐喝行為を繰り返すことを状態とするだけでなく、果ては自宅の不法占拠や関係者の拉致監禁にまで及んでいる。
このような異常な状況をすみやかに改善するべく、東京三弁護士会は、以下のとおり宣言するものである。
1.東京三弁護士会は、クレジット・サラ金ソウ段位おける多重債務者救済活動をより一層充実し、弁護士が借主の代理人として事件処理を行う際には、犯罪者たる違法高利業者を撲滅するべく、毅然として対処することを統一方針とする。
違法高利業者の取立に悩む市民は、東京三弁護士会の法律相談センターに救済をもとめられたい。
2.違法高利業者の取立行為は犯罪であるにもかかわらず、現状は、貸金の改修を口実としているために被害者が泣き寝入りすることが多く、警察も実態を把握できないで取り締まりに踏み切れないことがある。東京三弁護士会は、今後、違法高利業者に対して警察力が適正に行使されることを可能にするよう、これら業者の犯罪行為の実態を明らかにする活動を行っていくので、被害者はためらうことなく、被害状況を弁護士に通知すると共に警察に深刻するようにされたい。
3.広く国民各位におかれても、違法高利業者が犯罪者であることをよくご認識頂き、被害者の窮状に対してご理解をいただくようお願いする。
2002年10月9日
違法高利業者対応の東京三弁護士会統一基準
出資法違反の高金利による貸付を業として行う者は、その「貸付行為」自体が犯罪行為であり、民事上もその貸付は公序良俗違反によって無効であるから、これら違法高利業者に対する交渉に際しては、以下の方針で臨むものとする。
1.違法高利業者に対しては、返済金、和解金その他、名目の如何を問わず、一切の支払いをしない
2.依頼者が違法高利業者から受領した金銭は不法原因給付として返還の義務がないこと、他方、違法高利業者に対する支払いには法律上の原因がないことを前提として、違法高利業者に対し、支払った金銭について不当利得の返還を要求する。
3.具体的な取引や取立の状況について違法性を立証できるときは、刑事告発及び行政指導申告を積極的に行う。