3.証拠調べの実際
(1)書証の証拠調べ
(A)書証申し出の方式
書証の申出は、証明すべき事実を特定して文書の原本を提出して行うのが原則です(民訴法180条1項・219条、民訴規則143条)。事前に写し(相手方の分と裁判所の分)を提出し、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者および立証趣旨を明らかにした証拠説明書を同数提出します(同規則137条1項)。相手方に送付する文書の写しおよび証拠説明書は直送できます(同条2項)。
証拠の立証責任側が文書を所持していない場合は、相手方または第三者が所持する文書であって、その提出義務を負う者については文書提出命令の申立てによらなければなりません(民訴法219条~221条)。所持者が任意に提出に協力する見込みのある文書については、文書送付嘱託の申立てによることができます(同法226条)。
(B)書証の証拠調べの実施(文書の成立の真否)
書証の証拠調べは文書の成立の真否を中心に行われます。書証は提出者が主張する文書作成者の思想内容を証拠資料とするものであるから、当該文書が提出者が主張する者によって作成されたものかどうかを確認する必要があります。これが認められると文書が真正に成立したということになって、文書の形式的証拠力(証拠としての資格)が備わり、その実質的証拠力(証明力、証拠価値)が裁判官の自由心証によって判断されることになります(民訴法247条)。
(2)証人の証拠調べ(証人尋問)
(A)証人尋問申出の方式
証明すべき事実を特定して、これと証拠との関係を具体的に明示してしなければならない(民訴法180条1項、民訴規則99条)。さらに、証人を指定して尋問に要する見込み時間を明らかにし、個別的・具体的に記載した尋問事項書(相手方に直送する)を添えて申出なければならない(同規則106条・107条)。これらは、裁判所の証拠採否の判断、裁判所の証人呼出しの便宜、審理計画上の必要、相手方の反対尋問の準備などを考慮したものである。
申し出にあたっては、争点に関して真に必要かつ適切な証人かを十分に吟味する必要があります(たとえば、交通事故を直接目撃したわけではなく、事故後その状況を一方当事者から聞いたにすぎない者の供述は間接的で証拠価値が低く、本人尋問によることで足りるというべきです)。裁判所も申し出のあった証人をすべて漫然と採用するわけではありません。
相手方としては、証人と申し出者との関係、証人と事案内容との関係、尋問事項の内容などを検討し、反対尋問の準備をします。
(B)証人尋問の実施
尋問は、まず裁判官が証人の人定質問を行い、宣誓の趣旨および偽証の罰(刑法169条)を説明した上で証人に宣誓をさせます(民訴法201条、民訴規則112条)。
尋問の順序は下記の通りとなります。
- ①申し出をした当事者の主尋問
- ②相手方野反対尋問
- ③申し出をした当事者の再主尋問
- ④必要があればさらに当事者の主尋問
- ⑤必要があれば裁判所が介入尋問(補充尋問)
- ⑥必要があれば当事者の介入尋問
訴訟代理人がついている場合には、①~④は訴訟代理人が行います。当事者に異議なく裁判所が相当と認める場合には、証人尋問に代えて証人に書面の提出をさせることがあります(書面尋問 民訴法205条)。これは証人が遠隔地に居住している場合、病気などで出席が困難な場合などに相当と認められるが、簡易裁判所では、さらに当事者の異議の有無を問わず、証人だけでなく、当事者本人、鑑定人の場合にも許されます(同法278条)。
(3)当事者本人の証拠調べ(本人尋問)
原則として証人尋問に関する規定が準用される(民訴法210条、民訴規則127条)。また、本人尋問に関する規定は当事者を代表する法定代理人について準用されるので(民訴法211条)、未成年者の親権者、成年後見人、法人の代表者の尋問は本人尋問として行われることになる。
(A)本人尋問申し出の方式
尋問見込時間を明らかにし、尋問事項書を提出、直送すべきことは証人と同様である(民訴法127条・106条・107条)。本人の場合は証明すべき事実との関係は明白であるから、立証の必要がある限り、証人とは異なりその必要性、選択の適切さが問題となることはなく、採用されるのが一般的であるほか、裁判所の職権でも尋問することができる(民訴法207条1項)。
(B)本人尋問の実施
まず裁判所が本人の人定質問を行うことは証人の場合と同様である。宣誓をさせるかどうかは裁判所の裁量によります(民訴法207条1項)が、いわゆる一体型審理を行う少額訴訟事件及び準少額訴訟事件を除き、宣誓をさせる例が多いと思われる。宣誓はその趣旨および虚偽の陳述の制裁を説明したうえでさせるが(民訴規則1127条・112条)、制裁の内容は10万円以下の過料である(民訴法209条1項)。
尋問の順序は、証人尋問と同様で
- ①主尋問
- ②反対尋問
- ③最主尋問
- ④さらなる当事者の尋問
- ⑤裁判所の介入尋問(補充尋問)
- ⑥当事者の介入尋問
ということになりますが(民訴規則127条・113条)、本人訴訟の場合は裁判所が主尋問を行う例が多いでしょう。尋問における質問事項ないし質問方法についての制限(同規則114条・115条)も、その趣旨に反しない限り準用されることになります。
みなとみらい司法書士事務所
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