【横浜・神奈川】敷金返還手続に関する解説

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事例1

「修理特約」を賃貸人の義務免除のみの効果と判断

名古屋地判平成2年10月19日

(1)事案の概要

訴外Aは、貸主との間で昭和55・8・31日名古屋市内の賃貸マンションについて賃貸借契約(期間不明)を締結し、賃料月額12万円とされた。同日YはAの連帯保証人となり、契約当初から利用補助者として本件建物に居住し、その後Bの承諾のもとにAから賃借権を譲り受けた。昭和60・7・2、Bが死亡したため、Xが相続により賃貸人の地位を承継した。昭和63・4・30に賃貸借契約が終了し、同日Yは、本件建物を明渡した。
 Xは、訴外A及びYの未払い賃料66万1315円を請求するとともに、昭和62年8月の温水器取替え工事費18万5千円および原状回復のため実施した修繕費用50万4200円について、修繕特約に基づきその支払いを求めて提訴した。

(2)判決の要旨

1. 温水器の取替え費用について、本件修理特約に列挙された修理等の項目が比較的短期間で消耗する箇所に関するものが多く、かつ、その他小修理という一般条項的項目によってまとめられているところ、温水器はかなり長期の使用を予定して設置される設備であると認められる。
2. 修理特約について、本件修理特約は、一定範囲の小修繕についてこれを賃借人の負担において行う旨を定めるものであるところ、こうした趣旨の特約は、賃貸人の修繕義務を免除することを定めたものであって、積極的に賃借人に修繕義務を課したと解するには、更に特別の事情が存在することを要する。
3. 建物の毀損、汚損などについての損害賠償義務を求めた特約は、賃貸借契約の性質上、その損害には賃借物の通常の使用によって生ずる損耗、汚損は含まれないと解すべきである。
 この点についてみると、ドアー等については、通常の使用によっては生じない程度に汚損していたことが認められるが、それ以外の損耗は通常の使用によって生ずる範囲のものである。また、壁クロスの汚損が結露によるものとしても、結露は一般に建物の構造により発生の基本的条件が与えられるものであるから、特別の事情が存しない限り結露による汚損を賃借人の責に帰することはできない。
4. 以上から、Yが負担すべき修繕費用としては、ドアー等のペンキ塗替え費用相当額(2万円)のみを認めた。

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