【横浜・神奈川】敷金返還手続に関する解説

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事例11

壁の補修につき賃借人に一部(2割)の責任を認めた(修繕特約は無効と判断)

横浜地判 平成8年3月25日

(1)事案の概要

借主Xは、平成元年7月2日、Yとの間で横浜市内のマンション(新築物件)の賃貸借契約を締結した。契約期間は2年間、賃料月額9万7千円、敷金19万4千円とし、Xは同日Yに敷金を交付した。平成3年7月2日の契約更新時に賃料が1万円増額され、その結果敷金も2万円増額されたので、Xは同日Yに敷金を追加交付した。平成6年3月31日賃貸借契約は合意解除され、同日XはマンションをYに明渡した。
 Yは、Xが通常の使用による損害以上に損害を与えたため、補修工事を実施し、46万9474円を出損し、敷金を充当したので、敷金は返還できないと主張したことから、Xが、交付済みの敷金21万4千円の返還を求めて提訴した。 

(2)判決の要旨

これに対し一審(保土ヶ谷簡判)は、

1. 畳は、入居者が変らなければ取り替える必要がない程度の状態であったから、その程度の損耗は通常の使用よって生ずる損害と解すべきである。
2. 洋間カーペット、洋間の壁・天井等は、カビによる染みがあったために取り替えたものであるが、本件建物が新築であったために壁等に多量の水分が含有されていたことは経験則上認められ、また、居住者がことさらにカビを多発せしめるということは到底考えられないし、またXがそのような原因を作出したとは認められない。
3. 網入りガラスは、熱膨張により破損しやすいところ、Xが破損に何らかの寄与をしたとは認められない。
4. トイレのタオル掛けの破損も、その材質上、取れ易いことは経験則上明らかである。
5. 以上から、各損害はいずれも通常の使用により生ずる損害、損耗であり、Yが負担すべきとして、Xの請求を全面的に認めた。

貸主Yが一審判決を不服として横浜地裁に控訴した。
控訴審においては、

1. 洋間カーペット、洋間の壁、洗面所、トイレ及び玄関の天井及び壁に発生したカビについて、相当の程度・範囲に及んでいたこと、本件建物の修繕工事をした業者が同一建物内の他の建物を修繕したが、そこには本件建物のような程度のカビは発生していなかったことから、本件建物が新築でカビが発生しやすい状態であったことを考慮しても、Xが通常の態様で使用したことから当然に生じた結果ということはできなず、Xの管理、すなわちカビが発生した後の手入れにも問題があったといわざるを得ない。
2. カビの汚れについては、Xにも2割程度責任があり、「故意、過失により建物を損傷した有責当事者が損害賠償義務を負う」旨の特約条項により、Xは本件カーペット等の修繕費用15万5200円のうち、約3万円を負担すべきである。
3. 以上から、原判決を変更し、Xが請求できるのは、敷金21万4千円から3万円を差し引いた18万4千円とした。

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