【横浜・神奈川】敷金返還手続に関する解説

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事例15

クロス一部の棄損に対する責任を全体の修復費用を負担すべきと判断

春日井簡判 平成9年6月5日

(1)事案の概要

借主Xは、Yの父親との間で平成2年4月16日、春日井市内のマンションの賃貸借契約を締結した。当初契約期間は2年(以後1年毎の自動更新)、賃料6万4千円(契約終了時は7万4千円)、敷金17万4千円とされた。なお、Yの父親が平成3年12月15日に死亡したため、Yが賃貸人の地位を承継した。Xは、本件契約が平成8年3月23日に終了したので、同日、Yに本件建物を明渡した。
 退去日にX、Yの妻、宅建業者の三者の立会いにより、修繕箇所の点検・動作確認を行った。その結果、Xは、畳表、襖、クロスの張替え費用の一部については、負担を認めたが、YはXの本件建物の使用状況が通常の使用に伴って発生する自然的損耗をはるかに超えるものとし、修繕及び清掃を実施して、その費用を支出した。
 Xは、賃貸借契約終了により、敷金17万4千円のうち補修費用6万2700円を控除した11万1300円及び前払い賃料の日割り分1万9225円の返還を求めて提訴した。これに対し、Yは、修繕費用及び清掃費用の合計金30万7940円と敷金17万4千円及び賃料日割返還分1万9225円の合計19万3225円とを相殺した11万4715円の支払を求めて反訴した。

(2)判決の要旨

1. 和室などのクロスについては、Xの行為により毀損したものは全体の一部分であるからといって、その部分のみを修復したのでは、部屋全体が木に竹を継いだような結果となり、結局全体のクロスを張替え修復せざるを得ないことになるが、それはとりもなおさずXの責めによるものであるといわざるを得ない。
2. 和室Bの畳、和室A及び洗面所のクロスについては、Yが主張するように通常の使用に伴って発生する自然的損耗をはるかに超える事実を認めるに足りる証拠は無く、和室Aの畳表替え、他の部屋等のクロスの張替えをする必要があるからといって、それとのバランスから和室Bの畳替え和室A及び洗面所のクロスについてそれをもXに修繕義務を負わせるのは酷であり、不当であり、Yの負担においてなすべきである。
3. Yが清掃費用を支払うこととなったのは、Xの退去時の清掃の不十分さに起因するものである。
4. 以上から、XはYに対し、修繕費用21万2940円及び清掃費用2万円の合計23万2940円の支払義務があり、したがって、XはYに差し入れている敷金及び日割計算による前払い賃料の返還金の合計額19万3225円と対等額で相殺しても、なお3万9715円を支払う義務があるとした。  なお、Xが控訴したが、その後、Xの負担を敷金相当額とする和解が成立した。

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