【横浜・神奈川】敷金返還手続に関する解説

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事例8

壁などの破損を通常使用によるものと判断(保証金の控除割合が大きい事例)

大阪地判 平成7年9月19日

(1)事案の概要

借主Xは、Yから平成3年10月ビルの一室を賃借した。約定では、賃料16万5000円、保証金160万円(本契約解除時にはYはXに対し100万円を控除して返戻)、XはYに対しXが本件貸室内の建具、壁その他関連する全ての物品に対し、故意又は過失により損傷を与えたときは別途その損料を支払う(以下「本件特約」という)こととされた。
 Xは平成4年10月本件契約を解除し、同日本件貸室を明渡し、保証金60万円の返還を求めたが、YはXが室内を損傷させたため、その修復費用60万円の返還が必要であるとして返還を拒絶した。 

(2)判決の要旨

第一審(大阪簡判)は、Xが勝訴した。Yが控訴した。
第二審(大阪地判)は、Yの主張を認めたため、Xが上告した。これに対して、上告審(大阪高判)は

1. Yの主張する損傷が本件賃貸借期間中のものか否か疑問がある。
2. 本件特約にいう損傷には、賃借人による賃借物の通常の使用によって生ずる程度の損耗等は含まれず、これらの損耗等は保証金100万円によって補修されていることを予定しているところ、本件の損傷が通常の使用によって発生したとの考えられ、この点を審理する必要がある。
3. 補修に60万円を要するか多分に疑問がある。
4. 以上から、原判決は審理不尽であるとして、原判決を破棄し、原審に差し戻した。

差戻審(大阪地判)は、

1. 賃借人による使用収益を内容とする賃貸借契約の性質から、賃借人の通常の使用によって生ずる程度の損傷の発生は通常予想され、また、保証金の控除割合が非常に大きいことを考慮すると、本件特約の損傷とは、通常の使用によって生ずる程度を超える特別の損傷に限定される。
2. 本件貸室の柱、壁等には損傷が認められるが、いずれも部分的なものであって、さほど広範囲でなく、内容的にも重大なものではなく、むしろ、1年間程度使用すれば通常生じるであろう軽微なものである。
3. 以上から、Yの控訴を棄却した。

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