【横浜・神奈川】敷金返還手続に関する解説

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事例9

「修理特約」を賃貸人の義務免除のみの効果と判断

大阪高判 平成8年3月19日

(1)事案の概要

貸主Xは、昭和62年5月、本件建物を訴外Aに賃料6万8000円、敷金30万円、礼金27万円、更新料20万4000円で賃貸し、引き渡した。Aは平成4年9月死亡し、YがAの地位を承継した。本件契約は平成4年11月合意解除され、同年12月本件建物はYからXに引き渡された。
 Xは、本件特約(所定の修理、取替えに要する費用は借主負担)は、借家法6条に反せず、特約によるYの修繕義務は、契約期間中に限らず終了時にも適用され、Yは本件特約を明記した解約通知書に署名押印し、合意解除したとして、Yに対し11箇所の修理費用(72万7592円)と敷金30万円の差額並びに未払い水道料金2359円の合計42万9951円の支払を求めた。これに対して、Yは修繕義務を否定し、敷金の返還を求めて反訴した。 

(2)判決の要旨

第一審(京都簡判)は、

1. 賃貸物の修理を借主の負担すとする特約もあながち無効とするまでもないが、賃料の他多額の更新料、礼金、敷金の支払に追われている事実等に鑑みれば、借主の通常の使用中に生じた汚損などは右借主の支払った出資で賄うべく、本件特約にいう借主の負担する修理義務の範囲は、右の域を越えた借主の故意又は重大な過失に基づく汚損等の修理を意味すると解するのが相当である。
2. 本件契約は、新改築なった新しい建物につき締結されたが、Yに本件契約開始時の状況を復元維持する義務まで課した物ではない。
3. Xが修理が必要とする汚損部分は、いずれも通常の使用によるもの、経年によるものばかりであり、Yの負担部分はない。
4. 以上から、XはYに対して敷金30万円かr未払い水道料金2359円を控除した29万7641円の返還義務があるとした。

これに対して第2審(京都池判)は、

1. 本件維持・取替特約の趣旨は、賃貸借契約継続中における賃貸人の修繕義務を免除することを定めたものと解される。
2. 本件契約においては、賃貸目的物の通常の使用収益に伴う自然の損耗や悪阻について、賃借人が積極的にその修繕等の義務を負担し、あるいは、賃貸目的物の返還にあたって、自然の損耗などについての皆朱の費用を負担して賃貸当初の原状に復する義務を負っていたとは求められない。
3. 以上から、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した。

なお、上告審(大阪高判平成8年3月19日)も控訴審判決を維持した。

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