民事調停 手続、民事再生に関する解説

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民事調停の流れ

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民事調停の流れ

  • 1.はじめに
  • 2.事実の調査
  • 3.証拠調べ
  • 4.調停案の提示

1.はじめに

条理にかなった解決を図るためには、事実が明確になることが不可欠です。
民事訴訟では、訴訟資料の収集・提出は当事者の権能たる責任とされます(弁論主義)。
これに対し民事調停においては紛争の実情を把握するために、職権調査主義が採用されます。
調停委員会は、当事者が訴訟資料や証拠資料を提出するのを待つまでもなく、職権で事実を調査することができます。もっとも、調停は話合いによる自主的紛争解決の制度で、また、証拠の多くは当事者が持っているから、当事者が進んで資料を提出するこが望ましく、実際にも、多くの資料が当事者から提出されています。
紛争の実情は、当事者からの事情聴取によって相当程度明らかになりますが、それだけでは十分でない場合もあります。そこで法は、必要な事実を明確にする方法として、職権で事実の調査と証拠調べができることを定めました(民調規12条1項)。

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2.事実の調査

(a)意義
事実の調査とは特別の方式によらず自由な手続で、かつ強制力を用いる方法によらないで資料を収集することをいいます。訴訟手続における証拠調べのように厳格な定めはなく、当事者等の任意の協力を求めて行われます。
例えば、当事者や参考人からの事情聴取、書証の取調べ、現地の状況の見分、専門家の意見聴取等です。

(b)調査の主体および方法
事実の調査は、原則として調停委員会が職権により自ら行います(民調規12条1項)。
もっとも法は、下記の通り各種の事実の調査を定めて、幅広く事実の調査を行えるようにしています。

 ・調停主任による事実の調査(同条2条前段)
 ・調停委員による事実の調査(同条3項)
 ・裁判所書記官による事実の調査(同条4項)
 ・他の裁判所に対する事実調査の嘱託(同条2項後段)
 ・調停委員などによる嘱託に係る事実の調査(同条12条の3)
 ・官庁等に対する調査の嘱託(同条規13条)

事実の調査においては、専門的知識経験を備えた調停委員の能力が活かされています。
また、当該調停委員会の構成員になっていない専門的調停委員の意見聴取制度も定められています(民調法8条、民調規14条)。
実際にも、例えば、後遺障害の症状などについて医学的知識を有する専門家調停委員の意見、建築の瑕疵の有無、程度、補修費用等について建築関係の専門化調停委員の意見、不動産の価格や賃料について不動産鑑定士である調停委員の意見を聞くなど、専門家調停委員の知識経験が活用されています。

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3.証拠調べ

調停委員会は、必要であると認める証拠調べをすることができます(民調規12条1項)。
証拠調べは、民事訴訟法の例により(同条5項)、書証の取調べ、証人尋問、当事者本人尋問、鑑定、検証等があります。
民事訴訟法の証拠調べには、宣誓や偽証罪の制裁などの厳格な手続があります。
調停は話合いによる自由な合意を目的とする制度ですので、このような厳格な手続を踏む必要のないことが多く、実際には証拠調べより事実の調査のほうが多く利用されています。

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4.調停案の提示

民事調停イメージ 当事者等からの事情聴取、事実の調査、証拠調べ等によって事実関係が明確になり争点や問題点が明確になると、調停委員会は解決の方針を検討し、調停案を作成することになります。
解決方針の決定は、調停委員会の評議でなされるのが原則です。
調停は、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする制度ですので、解決方針の決定にあたってよるべき規範は条理(健全な常識、道理、社会通念などの言葉で言い表せるもの)ということになります。

もちろん解決案は、実定法を基本にしたものでなければなりません。単に足して2で割るような解決案では説得力がないし、当事者の信頼も得られません。
調停案は、事情聴取、証拠調べ、事実の調査等によって明らかになった事実関係に、実体法を適用した法的判断を基礎におき、条理にかない実情に即したものとして作成されなければなりません。

具体的な場合に、何が条理であるかを見定めて、これに基づいた解決こそが当事者が納得し、民事調停で求められる紛争解決です。民法などの実体法規に従った解決が条理にかなった解決であることはいうまでもありませんが、実体法規をそのまま適用したのでは妥当な解決が得られないような場合には、実体法規をそのまま適用しないで、条理に基づいて解決を図ることができます。

例えば、長期にわたる賃料不払いによる賃貸借契約を解除したとして、建物を引き渡しと未払賃料等の支払を求める場合、これらの事実が認められれば、民法の規定により、賃借人は直ちに建物を明渡し、未払賃料およびその遅延損害金、契約解除以降の賃料相当損害金を支払うべき法的義務が認められます。

しかし調停においては、賃貸借契約成立の事情、当事者双方の事情、その他事情聴取や事実の調査等によって明らかになった一切の事情の総合考慮して、条理に基づき、明渡しの猶予期間を定めたり、遅延賃料等の一部免除や分割払いを認める等の妥当な解決がなされることが多いのが実状です。

このような解決は、家主にとっては、判決を得て強制執行をしなくて済むこと、時間はかかっても確実に滞納家賃の回収ができること等のメリットがあり、賃借人にとっては、移り住む住宅を探す余裕ができること、滞納家賃の支払が可能になる事などのメリットがあります。

調停は、当事者の互譲による自主的な紛争解決制度ですので、当事者から自主的に解決案が提出された場合、その内容が条理に照らして妥当なものであれば、それによって解決すべきなのです。
しかし実際には、当事者が自主的に解決案を提出することは少なく、調停委員会が調停案を提示することがほとんどのようです。

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